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防災に役立つ情報



無色無臭で忍び寄る一酸化炭素中毒の脅威に備えよう。 第35回

いつでも、誰にでも起こるリスク

ガスコンロのスイッチをひねっても火が点かずに、しばらくすると気分が悪くなったという経験のある方もいることだろう。一酸化炭素(CO)が発生したためである。冬場になると、自動車のマフラーが雪に埋もれ、排気ガスが逆流し、CO中毒で死亡したというニュースを耳にすることがある。また、大手電機メーカーやガス器具会社によるCO中毒の死亡事故もニュースをにぎわせた。最近では北海道北見市の都市ガス管破断による死亡事故で、その怖さが一層知られるようになった。CO中毒による死亡者は、毎年のように発生している。「平成18年版消防白書」によれば、2005年の火災による死因のうち、CO中毒はやけどを上回ってトップ。CO中毒・窒息による死者は674人で死因の4割を超えた。CO中毒はいつでも、誰にでも起こりうるリスクといえ、基本的な知識や対策を知っておくことが欠かせない。

避難できずに死亡も

まず、COは物が不完全燃焼した時に発生し、強い毒性を持っている。透明で無臭なため、気がついたときには手遅れとなりかねない。人体への影響は空気中のCO濃度によって異なるが、低い濃度であっても長時間吸い続けると命にかかわる。例えば、64000ppm(0.64%)だと、1〜2分で頭痛・めまいを感じ、15〜30分間で死亡する。128000ppm(1.28%)だと、1〜3分で死亡。COは吸引すると、血液中のヘモグロビンと結合して全身を酸欠状態にするため、意識がもうろうとなり、避難できずに倒れてそのまま死に至ることがある。2001年9月に44人の犠牲者を出した新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災では、出火元の3階の死者19人中16人、4階は28人全員の死因がCOガス中毒によるものだった。

必要な警報器の設置

安全上、就寝時は暖房装置を使用しないことが望ましいが、寒冷地ではやむをえず寒さしのぎのため使用することもあるだろう。そうした場合でも、こまめに換気することが身を守ることになる。というのも、暖かくなれば眠気を催しがちとなるため、うっかり「オン」のまま寝てしまいかねない。そうしたリスクを避けるために、COガスが出ていないか24時間監視して、いざという時に危険を知らせる「CO警報器」を設置することをお勧めしたい。

CO中毒は居間や寝室だけで発生するとは限らない。キャンプ場のテントの中で換気せずにガスバーナーを点火していたり、トンネルや浴室内などの閉ざされた空間なら、どこでも起こりうる。そのため、CO警報器を開発するエルコ社の佐々木洋社長は、「自宅のほかにも、自動車内に置いてもいいでしょう」と話す。同社のCO警報器は米国クオンタム社製で、最大の特長はCOが低い濃度であっても長時間にわたり漏れていた場合には警報が鳴ることだ。一般的に日本製のCO警報器は国内の基準に従い、一定の濃度に達すると警報が作動する仕組み。ただ、低濃度で長時間にわたりガスが発生していても警報は鳴らないというのが主流。一方、クオンタム社製の警報器は日本より厳しい米国や欧州の安全基準で作られている。佐々木社長は「COは濃度だけでなく、漏れている時間も累積して考えるべき」と指摘し、使用する立場としては外国製の方がより安全性が高いと主張する。その通りクオンタム社の警報器はCOの濃度が70ppmで1〜4時間、400ppmで4〜15分続くと警報が反応するなど、低濃度のCOでも感知できる。設置場所については、「壁面でもかまわないが、できればCOガスが滞留しやすい天井から30cm以内にして下さい」と佐々木洋社長は話す。

その場にいても分からない怖さ

煙感知器や熱感知器でも火災への備えとなる。しかし、煙や熱は人がその場にいればたいてい気が付くものだが、COの場合は無色無臭なため、たとえ人がそこにいても警報器が教えてくれないと分からない。その意味で、CO警報器の果たす役割は大きいのである。COガスはすぐ近くに燃焼している火災がないから発生しないということではない。新宿雑居ビル火災のように火元でない場合や、ガレージの上に部屋がある場合、アイドリングのガスはすき間を伝って侵入してくる。無味無臭の怖さはそこにある。

火災の専門家は「キッチンなどに煙感知器を設置している家庭があるが、魚の煙などにも反応してしまうため適さない。火災警報機には、熱感知器と煙感知器とがあるが、用途が広いCO警報器をキッチンに設置してはいかがだろうか」と指摘し、CO警報器の優位を強調する。人間が24時間、COガスの監視を続けることは不可能だ。寝室で、レジャー先で、いつ、どこで被害に遭うか分からないCO中毒を警戒するための備えとしてCO警報機の購入を検討してはいかがだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター)

  • 無色無臭で忍び寄る一酸化炭素中毒の脅威に備えよう。 エルコ社のCO警報器
  • 無色無臭で忍び寄る一酸化炭素中毒の脅威に備えよう。 添付のアンカーやネジを使って天井や壁面に設置する
(c)レスキューナウ

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