街角の味方 自動販売機 第9回
電光掲示板から災害情報
大規模な災害が発生すると断水や停電などライフラインが寸断されるほか、食料品の入手が困難になるなど生活に大きな支障が出る。こうした中で、自動販売機に事前に設定されたパソコン端末から電波信号を送ることで、中の飲料を無償で提供する災害対策用の自販機が存在感を増している。「災害救援ベンダー」などとも呼ばれるもので、平常時は通常の自販機として活用される。
日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)は地域貢献のひとつとして、2003年3月に埼玉県上尾市役所に設置したのを皮切りに、2005年12月時点で約1,000台とほぼ全国に設置。一方、別の飲料メーカーでは災害時に停電した場合でも、扉を開ける鍵がなくても、また管理者以外でも自販機上部の小窓を破るだけで飲料を取り出せるタイプの自販機を消防署や市役所、避難時の避難指定場所、病院などの屋内に300台を順次設置していく予定という。
誰でも取り出し可能タイプも
山梨県南都留郡西桂町は人口約5,000人と小規模ながら5カ所に災害救援ベンダーを設置。設置場所はすべて屋外で、平常時は全国規模のニュースを電光掲示板に流している。自販機前部の電光掲示板は平常時、ニュースの配信や自治体による防災訓練のお知らせ、交通安全運動の告知などを流しているが、災害が発生すると行方不明者や安否情報など災害関連の情報に切り替わる。同町総務課は「まだ災害情報の配信は行っていないが、実際に災害が発生したら、気象庁や県防災課からの情報のほか、避難者を意識して公民館の収容状況などを流したい」と話す。
このタイプの自販機の活躍が目立ったのは2004年10月の新潟県中越地震だった。長岡市は約300人の避難者を収容していた市民体育館で4日間にわたり約1,500本の飲料を無償で提供した。同市は避難者を想定してベンダーをすべて体育館に設置。電光掲示板には平常時は地元新聞社のニュースを流していたが、このときは「無償で提供中」という文字を流して飲料の配布を図った。
新潟県中越地震後に増加
この新潟県中越地震を境に各地の自治体が飲料メーカーと提携し、災害救援ベンダーを導入する例が増加している。災害時にライフラインが寸断された中で、明かりや飲料だけでなく、情報まで提供できる──。考えてみれば、これほど有難い機能が揃ったものが街角にあるのは心強いことだ。われわれが街角で目にする機会も多くなることだろう。電光掲示板に流す情報で災害時に特筆するような活用例はまだ聞こえてこないが、平常時の運用は順調といえ、災害時における運用方法も徐々に改良されていくように思われる。
参考サイト:
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電光掲示板に注目。新潟県中越地震の際は「無償で提供」と表示(日本コカ・コーラ提供)
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静岡県富士宮市の災害救援ベンダー(日本コカ・コーラ提供)
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