【特別版】ガソリン・軽油の危険性を再認識しよう 第75回
暫定税率期限切れで
2008年3月31日、揮発油税(ガソリン税)をはじめとする5つの自動車関連税に課されていたいわゆる「暫定税率」が期限切れ失効となり、多くのガソリンスタンドで販売価格が1リットルあたり約20円、軽油も1リットルあたり17.1円値下げされることとなった。
2003年頃までは1リットル100円台だったガソリン小売価格は、イラク戦争後の世界情勢不安やハリケーン・カトリーナのメキシコ湾沿岸油田地帯直撃(2005年8月)、中国をはじめとする新興国での需要増大などに伴う原油価格の高騰などを受け、2007年には150円を超えるまでに急上昇していたことから、事実上の値下げ初日となった4月1日には、未明から一部のガソリンスタンドなどで給油待ちの行列が出来るなど混乱が見受けられた。
今回の燃料値下げは「ねじれ国会」と揶揄される政治情勢の不安定さから生じたものであるが、政府与党は早期の暫定税率再議決を目指しているとのことから、近いうちに価格が元に戻る可能性がある。その中で、安いうちにガソリンや軽油を確保する、いわゆる「買いだめ」の動きについて、総務省消防庁をはじめ全国の消防機関などが警戒を強めている。
車社会となった現代日本において、燃料は私たちに欠かせないものとなっているが、改めてその危険性を再認識する必要がある。
改めて燃料の危険性を知ろう
ガソリンは広く知られている通り、揮発性が高く(約マイナス40℃で引火)、小さな火源でも爆発的に燃焼する物質である。
気化したガソリンは空気より重く、ちょっとした穴やくぼみに溜まり、拡散にも気づきにくく、火の気が近くになくても、静電気でも引火する危険性が高い。
軽油は、ガソリンほど揮発性が高くないものの(約40℃で引火)、ある程度量がある場合にいったん火がつくと消火が難しく大きな火災になる危険性がある。
このため、消防法ではそれぞれ危険物(第四類 引火性液体)に指定され、危険物の規制に関する政令で取り扱いが定められている。
保管は極力控える
ガソリンは40リットル以上、軽油は200リットル以上を保管する場合、保管場所の壁、柱、床及び天井が不燃材料であることなど、構造等の要件が基準を満たした上で、予め消防機関への届出が必要とされる。
また、それ以下の場合においても、消防機関では危険性を踏まえガソリンや軽油を保管することは極力控えるように呼びかけている。
どうしても保管する必要がある場合にも、消防法令に適合した容器を用いた上で、適切な管理を行うことが求められる。
ガソリン・軽油とも金属製容器では60リットル以下とされているが、ガス欠に備えるためにガソリンを車に載せておくという場合には、22リットル以下となるので注意が必要である。
特にガソリンを運搬する際には、容器のフタを確実に閉め、上向きにして転倒しないよう容器を固定するなど慎重に取り扱う必要がある
ガソリンの容器詰め替えは原則禁止
セルフスタンドでは、客自らが灯油を指定のポリ容器に詰め替えることは出来るが、適合容器であってもガソリンの詰め替えは厳しく禁じられている。
販売員が行うことは認められているが、適合容器であることを必ず確認することになっている。
ガス欠など急場しのぎに飲料用ペットボトルや一斗缶などに詰め替えることは不可である。
特に、灯油用のポリ容器にガソリンを詰め替えることは、ガソリンがプラスチックを溶かす性質を持っていることなどから危険性が非常に高く、絶対に行ってはならない。
なお、セルフスタンドで静電気による火災事故や、ガソリンの吹きこぼれ、給油口のフタの閉め忘れ、「軽自動車」だからという理由で「軽油」を給油してしまうといったトラブルが急増していることから、併せて注意しておきたい。
正確な情報収集で冷静な対応を
適合容器はホームセンターや自動車用品店などで販売されているが、数千円から数万円する。
運搬上限の22リットルとしても、価格変動の幅とほぼ同じか上回るコストであるとも考えられる。
ガス欠予備対策としてこの際検討するとしても、決して「買いだめ」は燃料の危険性を前提とすればトクにならないと考えるべきだろう。
そもそも、日常的に燃費とともに燃料の残量を意識したドライビングを率先し、早め早めに給油することが望ましい。
今回の値下げは一過性のものとなる可能性があり、再値上げ時には安いガソリンを求めて更なる混乱が予想されるが、「地球環境」といったより大きな視点で考えながら、日々の情報を正確に捉え、冷静な対応を心がけたいものである
(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 宝来英斗)
参照URL:
-
ガソリンや軽油の買いだめに関する防火安全上の注意事項(総務省消防庁)
(PDFファイル:919KB)
-
鉄製ガソリン容器「ガソリン携行缶」(消防法令適合)
-
セルフスタンドでは、必ず規定通りの給油を行う
さらに詳しく…災害情報メール マイレスキューへ
防災グッズショップへ

