知っておきたい災害用伝言ダイヤル・伝言板 第6回
全国から録音・再生が可能な171
地震発生時、親類や親しい知人への電話がつながりにくくなる、そんな経験をお持ちではないだろか?これは震源地に近い地域に電話回線の処理能力を超えたアクセスが集中するためだ。これを専門的には電話輻輳と呼ぶが、この他にも円滑な被災地の救援活動を図るために被災地域への一般電話を規制することもある(通話規制)。阪神・淡路大震災では、5日間にわたり電話が輻輳し、被災地と連絡が取れない状態が続いた。
この教訓からNTTは災害用伝言ダイヤルを開始し、災害が発生すると被災地の電話番号毎に音声を記録するシステムの提供を開始した。これは全国約50カ所に散在する伝言蓄積装置に声を記録するため、171にダイヤルすれば輻輳や通話の規制を受けることなくメッセージを伝えられる便利な仕組みだ。ただし対象は被災地域の電話に限られる。
操作方法は、伝言を録音する場合は171のダイヤル後、「1」をダイヤル、被災地の電話番号(市外局番から)をダイヤルする。相手のメッセージを再生する場合は、171のダイヤル後「2」をダイヤル、被災地内の電話番号(同)をダイヤルする。操作方法は固定電話・携帯電話・PHS・公衆電話とも同じだ。
文字による安否確認も
このほか、災害時の連絡手段として携帯電話会社による災害用伝言板サービスがある。文字情報を利用して安否を確認できるシステムが特徴。iモード・EZweb・ボーダフォンライブなどトップページ上に災害用伝言板の案内が表示される。電話番号毎に情報を登録することができ、「無事です」などの現在の状態を選択、100文字以内のコメントが入力可能だ。情報を登録するとあらかじめ指定したメールアドレスに通知メールを送る機能もある。インターネットにつながる携帯電話さえあれば耳が不自由な方でも連絡が取り合えるが、機器の操作に慣れておく必要がある。
操作方法は例えばiモードの場合、伝言の登録には、iMenuのトップページから災害用伝言板を選択、「登録」を選択、「無事です」「被害があります」「避難所に居ます」などの中から選択、100文字以内のコメント入力、「登録」を選択、登録完了となる。登録したメッセージはiモードだけでなく、他社の携帯電話やPHS、パソコンなどで確認ができる。
また伝言の確認には、各社の災害用伝言板のトップページから「確認」を選択、安否を確認したい人の携帯電話番号を入力し、「検索」を選択、確認したい安否情報を選択すれば、登録されている状態とコメントを見ることができる。伝言板のページをお気に入り(ブックマーク)に入れておいてはいかがだろうか。
無料で使える公衆電話
携帯電話の普及で数は減っているが、公衆電話も安否確認の方法として見直されている。停電になればテレホンカードが使えなくなるが、10円玉を入れれば無料で通話できる。通話終了後に10円玉は戻ってくる。IC・グレー色の公衆電話はバッテリーが切れるまで利用できる。電話線が断線していなければ停電時でも利用することができるので、ぜひ近隣の公衆電話がどこにあるのか、事前に把握しておきたい。
家族で事前の取り決めを
さて、災害用伝言ダイヤルで録音する際に知っておきたいポイントが何点かある。普段以上に大きな声で、しかもゆっくりと話さないと聞きづらく情報も伝わりにくい。また、事前に家族や友人らとどの電話番号に伝言を登録するのかを取り決めておくことが重要だ。この約束がないと、せっかく登録しても分からない。さらに、録音する内容にも気を付ける必要がある。第三者が誤って聞いてしまうこともあるので、確実に自宅を留守にすることがわかるような、あるいは自宅の位置が推測できるような表現を避けた方が無難だ。電話さえあればメールやインターネットの知識がなくても、被災地と声の連絡が取り合えるので、ぜひ、使い方をマスターしたい。
ただし一度に録音できる時間は30秒と短いため、家族に安否を確実に伝えられるよう時間を計ってみたり、録音して聞いてみたりすると良いだろう。たとえば「○○です。地震に遭いましたが無事です。○○駅にいますが、今から歩いて家に帰ります」などの要領で短い原稿を作っておけば慌てずに済む。なお、録音できる件数は1電話番号につき1〜10件までと限られており(運用開始時に実際に録音できる件数が発表される)、48時間保存され、その後自動消去される。
現状はこうした機能が十分に生かされているだろうか。「実際に災害が発生すると、被災地外からの問い合わせが多く、被災者が自分の安否を登録しているケースは少ない」とサービスを提供するNTT東日本災害対策室の担当者は話す。同社によると、災害用伝言ダイヤルの被災地内からの情報発信率は、新潟県中越地震で14%(新潟県)、住民へのアンケート調査では2%(中越地区)と低率だったため、録音されたメッセージのほとんどが被災地外からの録音で、「無事だったら連絡ください」程度の内容と想定される。
もし、首都圏で大地震が発生すると、災害用伝言ダイヤルのシステム容量は800万伝言のため、1電話番号の録音件数は3〜4件に制限される。本来意図していた安否確認システムとして有効に活用できなくなってしまうのだ。帰宅困難者対策や事業継続計画(BCP)なども考慮すれば、「被災者自らが安否情報を発信することが重要」(前出・NTTの担当者)といえる。災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板などの運用開始までに一定の時間を要することもあるが、情報が流れたら率先して自分の情報を登録・活用してみたい。
なお、NTT東日本は2005年の防災週間から首都直下地震の発生に備え、インターネットを活用した「災害用ブロードバンド伝言板(web171)を試行提供している。
使い方や原稿をポケットに
地震発生後、テレビ・ラジオ・インターネットなどで運用の開始と対象地域を確認する必要がある。ともあれ災害への備えとして、災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板の使い方、約束した登録先電話番号、録音用の原稿の3点を家族や知人と交換し、こうしたメモを普段から財布やポケットの中に入れるなど携帯しておきたい。なお、毎月1日や防災週間などに災害用伝言ダイヤルと災害用伝言板サービスが体験できるので、こうした機会を利用することによって、普段から馴染んでおくことをお薦めしたい。
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災害用伝言ダイヤルは一般の電話回線や携帯電話、PHSなどから「171」をダイヤルする
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利用方法や伝言登録エリアなどの情報が掲載されるNTT西日本のウェブサイト
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